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【SKIP CAFEアーカイブ】
医療的ケア児家庭のための防災勉強会
〜「自分の命は自分で守る」自助力を高める〜

ゲスト講師:朝永 渉(ともなが わたる)さん
(防災士/医療的ケア児等防災アドバイザー)
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このたびの地震・災害により被害を受けられた皆さまに、
心よりお見舞い申し上げます。
不安な夜を過ごしていらっしゃる方も多いと思います。
一日も早く、おだやかな毎日が戻りますよう、
心よりお祈りしています。

このたび、SKIP CAFEで開催した防災勉強会の内容を、
少しでも多くのご家庭のお役に立てればという思いから、
外部に公開いたします。
医療的ケアのあるお子さんとの暮らしのなかで、
「もしも」に備えるヒントとして、
届くべき方に届いてくれたらうれしいです。



〈この記事を読むときのお願い〉
この記事は、防災勉強会でうかがった内容をまとめたものです。
数値・費用・制度は、機種や地域、時期によって変わる“一例”です。
医療機器の使い方は必ず主治医・機器業者に、
避難の判断は自治体が出す避難情報を最優先にしてください。
ご自身の状況に合わせて、最新の情報でご確認をお願いします。


── この回について ──

南海トラフ関連の緊急情報、地震、大阪での突然の停電、
そして週明けに大型台風の接近。
そんな不安が重なるタイミングで、緊急開催した勉強会のアーカイブです。

一般的な防災情報を聞いても、
「うちは電子レンジじゃなくて“命に関わる医療機器”を止められない」
というママたちにとっては、なかなかピンとこないもの。

そこで、コミュニティメンバー・ゆきえさんの御主人で、
防災のスペシャリストである朝永さんに、
専門的な知識をたっぷり聞かせてもらいました。
夜遅くの開催にもかかわらず、45名の方が集まってくださいました。


🔽アーカイブはこちら




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ゲストのご紹介
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朝永 渉(ともなが わたる)さん
── コミュニティメンバー・ゆきえさんの御主人です。

・防災士
・防災危機管理者
・災害備蓄管理士
・佐賀県医療的ケア児支援センター
   医療的ケア児等防災アドバイザー

これらの資格をお持ちで、家族会などさまざまな場で
講演をされているスペシャリストです。
前職が航海士さんということもあり、
気象のお話にもとても詳しい方です。


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1. 防災の大原則「自助・共助・公助」
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災害が起きる“前”に一番大事なのは、
じつは自分たちの準備なんだよ、という話から始まりました。

・自助(最優先)…自分の命は自分で守る。
          自分の家族は自分で守る
・共助…自分でできないことは、周り(地域の方)に
     助けてもらう
・公助…行政などに助けてもらう

ここで押さえておきたいのが、行政ができることの線引きです。

【発災前】
行政が用意してくれるのは、基本的に「避難する場所」と「電力」まで。
それ以外は自分たちで備えるのが前提です。
台風などで事前に避難するときは、
自分たちで生活できる道具を持って避難します。

【発災後】
復旧や、限られた命を守る活動は、行政の使命です。
ここは法律で定められていて、行政が一生懸命動いてくれる部分。

つまり、「起きる前の備え=自分たち」
「起きた後の復旧=行政」と分けて考えると、
何を自分で準備すべきかが見えてきます。


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2. 電力に何を備える?「蓄電池」と「発電機」のちがい
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使う機器によって、蓄電池がいいのか発電機がいいのかは
変わってきます(例:医療機器だけなのか、エアコンも使うのか)。

【蓄電池(ポータブル電源)】
乾電池と同じで、充電された電気を使い切ったらおしまい。
また充電(再充電)が必要です。

【発電機】
燃料さえ補充すれば、ずっと発電し続けられます。
ただし音が大きいので、近くに民家がある場合に
ご理解いただけるか、といった問題も。

いちばんいいのは、両方あれば無敵!
とはいえ、それぞれ長所・短所があるので、
ご家庭の状況に合わせて選ぶのが基本です。


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3. 蓄電池の使い方
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参加者さんからも「知らなかった」の声が続出したパートです。

・1カ月に1回は、充電量をチェック!
・リチウム電池の種類によるが、自然放電で0%になると、
   一切充電できなくなることがある!
・普段は80%くらいで(長期保存の場合)
・台風の前や、毎日使っている場合は100%にしてOK!

〈補足〉電池の種類によっては、0%になっても再生できるものも
あります(すべてがダメになるわけではありません)。
ただ「0%は避けておくのが安全」という考え方で、
日ごろの残量チェックをおすすめします。
専用カバーに入れっぱなしだと忘れがちなので、
「毎月◯日」と日付を決めてしまうのがコツです。


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4. 「ワット数」の落とし穴 ── 500だから安心、ではない
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数字の話も、かみ砕いて教えてもらいました。

・「500Wh」の蓄電池
   = 500Wの機器を“1時間”動かせる容量、という意味。
・機器は、起動時に定格の約1.5倍の電力を必要とします。

だから、500Wの機器を動かしたければ、
出力は700W以上ないと足りません。
「500Whあるから使える」と思っても、
実際には動かないことがあります
(1000Wのドライヤーはもちろん動きません)。

呼吸器・加温加湿器・吸引器・吸入器・モニター・在宅酸素…
といった“フル装備”の方の場合、
朝永さんは1000Whクラスを安心の目安として勧めていました。

〈補足〉必要な容量は、使う医療機器の種類・台数・使い方で
まったく変わります。ここでの数字は目安として、
ご自身の機器の消費電力(機器の表示や取扱説明書)を
確認したうえで選んでくださいね。


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5. 医療機器と蓄電池・発電機 ──「非推奨」の本当の理由
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「業者さんに聞いたらダメって言われた」。
みんな共通の悩みですよね。

医療機器は精密機器なので、万が一壊れたときの
メーカーさんの金銭的な負担もあり、
蓄電池・発電機への接続は推奨されていません。

推奨はしないけれど、自己責任でなら使ってもいい。
ただし、必ず守りたい条件があります。

・インバータ式(電気の波を正確な波長にするもの)を使う
・「正弦波(純正弦波)」の表記があるものを使う
   (表記のないものは避ける)
・出力は100ボルト(家庭用コンセントと同じ)を確認
・中国製・海外製もとくに注意

インバータのないものを使うと、機器は一発で壊れることがあります。
それだけ医療機器は精密、ということですね。

〈大切な補足〉医療機器を蓄電池・発電機につなぐことは、
メーカーとしては正式には推奨されていません
(保証対象外・自己責任)。
「使える」という話ではなく、あくまで条件つきの実態です。
実際に接続を考えるときは、必ず事前にご使用の機器の
業者さん・主治医に確認してください。


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6. 呼吸器・酸素濃縮器の“もたせ方”のコツ
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〈はじめに〉ここでの使い方は一例です。
呼吸器・酸素は命に直結するので、実際の運用は必ず
主治医・機器業者の指示に従ってください。

【呼吸器は「直接つなぐ」より「バッテリーを充電する」】
呼吸器を蓄電池で直接動かすのではなく、
呼吸器の外部バッテリーを蓄電池で“充電”する使い方が効率的。
外部バッテリーで動かしている間に内部バッテリーへ切り替え、
そのすきに外部バッテリーを蓄電池で充電しておく。
この併用で、使える時間が大きく延びます。

【加温加湿器】
バッテリーがないので、これはつなぐしかありません。

【酸素濃縮器】
なるべく蓄電池にはつながず、ボンベに切り替えて使うのが基本。
台風など事前に分かるときは、業者さんに
「ボンベを数本追加で」と前もって依頼しておくと安心です。


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7. 蓄電池・発電機の選び方と補助金
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【発電機の燃料は3種類】
ガソリン・LPガス・軽油。
ガソリンは手に入りやすい一方、音やオイル交換などの
メンテナンスのハードルが高め。
カセットガス発電機(900W・蓄電池の1000Wくらいの容量)で、
20万円ほどのものもあります。
メリット・デメリットがあるので、あくまでご家庭の状況によります。

【補助金は「まず聞いてみる」】
蓄電池・発電機は、「日常生活用具」として
補助が出る市町村もあります。
県と自治体の両方から出る場合も。
ここ数年で状況は変化してきているので、
まずはお住まいの窓口に聞いてみましょう。

〈必ずご確認を〉補助金の有無・金額・対象条件は、
自治体と年度によって大きく異なります。
この記事の内容は一例です。お住まいの市区町村の窓口で、
必ず最新の情報を確認してください。

平成30年当時は、こうした電源への補助制度はまだありませんでした。
そこからゆきえさんご夫婦が行政に働きかけ、
日本で初めての事例をつくってくださいました。
前例をつくってくださって、本当にありがとうございます。


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8. どこまで自宅でしのぐ? ── 避難の判断
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テレビやネットは「今すぐ逃げて」と急かしてきますが、
朝永さんの言葉で印象的だったのは「むやみに逃げない」でした。

・まずはハザードマップで、自宅の場所を確認して判断する
・水害・土砂崩れなど、自宅以外の場所に避難する必要が
   本当にあるのか?
・必要がないのに、むやみに避難する必要はない
・「逃げる」=「留まる」を避ける、という考え方

自宅が安全と判断できるなら、備蓄を充実させて自宅で過ごす
「在宅避難」が最善の選択になることもあります。

〈ここは特に大切な補足〉
「むやみに逃げない」は、“避難しなくていい”という
意味ではありません。
お住まいの自治体が出す避難情報・警戒レベルが最優先です。
在宅避難は、ハザードマップなどで自宅の安全が確認できる
場合に限ります。
少しでも危険を感じたら、早めの避難をためらわないでください。


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9. 3日分の備蓄チェックリスト(忘れがちなものほど大事)
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自宅で過ごすのが一番安全な場合は、備蓄を頑張りましょう。
食料・トイレ・医療機材が基本です。

□ 水:1人1日3L
□ ご飯・ミキサー食など
□ 医療機材・消耗品(吸引器バッテリー、アンビューバッグ 等)
□ お薬(次の受診まで少し余裕をもって)
□ ケトル(お湯を沸かせるもの)
□ 着替え・マット・寝具

<忘れがちな備蓄!>
□ とろみ剤・おかゆヘルパーなどの“粉系”
□ 充電器関係(ケーブルだけでなく、電源タップ・
   ACアダプター本体も)
□ モバイルバッテリー
□ お母さん自身の着替え・下着
□ お母さん自身の食べ物

子どもの備蓄に精一杯で、お母さんご自身のものは
いちばん忘れがち。
賞味期限の長いパンなどを、少し多めに置いておくのもおすすめです。


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10. みなさんからの質問(Q&A)
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★日産から発売された蓄電池はどう?
→ 700Wクラス(ジャクリーやJVCの700)と、価格帯・容量は
   同じくらい。日産リーフなどの車に使われている
   リチウムイオン電池をリサイクルして作っているため、
   充電回数は低め(通常4000回ほど使えるところ、
   2000回程度とも)。

★訪問入浴中にも対応できる(ボイラーやエコキュートを
動かせる)蓄電池が知りたい。
→ ボイラーは機種によって100V・200Vと異なる。
   100Vなら、ポータブル電源2000Wで
   「お子さん1人入れるかな」程度。
   200Vなら、エコフローのプロ3(200V対応)で60万円ほど。
   一番いいのは、ソーラーパネル+大型蓄電池、
   または200V対応の発電機。
   ※ただし大規模停電のときは水道も止まるため、
    電気があっても使えない点に注意。

★自家発電と蓄電池の違いが分からない。
発電機があれば蓄電池はいらない?
→ 発電機は電気を「作る」もの、蓄電池は作らずに「貯める」もの。
   発電機の燃料はガソリン・LPガス・軽油。
   ガソリンは手に入りやすいが、音やオイル交換の
   ハードルが高い。カセットガス発電機900W
   (蓄電池1000Wくらいの容量)で20万円ほどのものも。
   メリット・デメリットがあるので、ご家庭の状況によります。

★蓄電池はrato500。フル装備(吸引器・吸入器・モニター・
在宅酸素・呼吸器)で、最近の気切で加温加湿器MR850が
追加に。備えとして足りている?
→ その構成だと動くけれど3時間程度。
   ・吸引器はつながず、残量が減ったら蓄電池で充電する
   ・加温加湿器はつなぐしかない
   ・酸素濃縮器はなるべくつながず、ボンベに切り替えて使う
   ・呼吸器は、蓄電池で動かすのではなく、
    外部バッテリーを蓄電池で充電する
   もう1台買うなら、1000Wの蓄電池があると安心です。

★酸素濃縮器にバッテリーがない。今から蓄電池を買うなら、
容量やメーカーはどう選べば?
→ 基本はボンベにつなぐのが一番。
   台風など事前に分かるときは、ボンベの本数追加を
   業者さんにお願いしておく。
   おすすめのジャクリー1500は、酸素濃縮器のみの使用で
   9時間程度使えます。

★なぜ業者さんは蓄電池につなぐのを推奨しない?
推奨しないのに使って壊れない?
→ 精密機器なので、万一壊れたときのメーカーさんの
   金銭的負担もあるため。
   推奨はしないけれど、自己責任でなら使ってもいい。
   ただしインバータ・正弦波を必ず守ること。

★パススルー機能あり。呼吸器や加湿器はどうつなぐ?
→ 物によって違う。加温加湿器は無理なので、
   ダイレクトにつないで使用する。
   大前提として、メーカーさんは発電機・蓄電池への接続を
   推奨しない。呼吸器はバッテリーがあるのでそれを使う。
   インバータのないものを使うと機器は一発で壊れる。
   中国製・海外製も注意。医療機器は精密です。
   繋げてはいけないわけではないけれど、保証はできない。
   規格に合った蓄電池・発電機を使いましょう。

★今後、ソーラーパネルかLPガスバルク供給か、
どちらにするか悩んでいる。
→ 両方あれば安心。
   LPガスバルクは、震災のときに個人宅への供給が
   途絶えないか、業者さんへの確認が必要
   (業者さんは24時間対応で見守ってくださっているそう)。
   緊急対応が可能ならLPガスバルクでもいい。
   ソーラーパネルは、その日の気象条件によります。

★ジャクリー2000plus(ソーラーパネルあり)と
ホンダのエネポを所持。24時間呼吸器(内部バッテリー6時間)、
加温加湿器、吸引器、据え置き型パルスオキシメーターを
使う場合、電源確保は足りている?
→ 足りています。

★自宅で過ごすのが一番安全な場合、どう過ごせば?
→ 備蓄を頑張りましょう(食料・トイレ・医療機材)。
   水は1日1人3L、ご飯、医療機材、薬、ケトル、ミキサー食、
   着替え、マット…。
   忘れがちなのは、とろみ剤・粉系・充電器関係・
   お母さんの着替え・お母さんの食べ物です。


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今後の備え まとめ
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□ 蓄電池は残量を確認し、フル充電に!
□ 充電できる医療機器(吸引器など)は充電!
□ 手動(足踏み式)吸引器を準備しておく!
□ 人工呼吸器のユーザーは、わが子に使えるアンビューを
   用意しておく!


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おわりに
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「普通の防災ニュースでは得られない、本当に知りたかった情報」が
ぎゅっと詰まった回でした。

朝永さん、本当にありがとうございました。
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